神社の祭りの起源は作物や無病息災を祈る神事だった!?

Pocket

神社のお祭りというのは、そもそも神様に捧げものを行ったり、その年の作高や無病息災を祈る神事が起源となっているものが少なくありません。

館山のお祭りの中でも、その神事が現代に受け継がれているものが数多く存在します。

スポンサードリンク

年を占う「筒粥神事(つつがゆしんじ)」

出典:南房総花海街道

「筒粥神事」とは別名を「粥占」とも呼ばれるもので、館山では鶴谷八幡宮や山荻神社で行われています。

「筒粥神事」はその年の農作物の出来などの吉凶を占うもの。

鶴谷八幡宮の筒粥神事は毎年1月14日の夕方から15日の午前中にかけて行われます。

まず14日の夕刻には、宮司とその年の責任役員が神前で祭事を行います。

その後、世襲で毎年筒粥神事を行う「鶴賀本家」が宇土川からとった葦の筒と、石うすでひいたお米、釜などを参集所に移し、米とともに束にした14本の葦筒を釜の中に入れておかゆを炊きはじめます。

おかゆが炊き上がるとそれは神前に移され、翌日の朝から行われる神事の後、葦筒の入ったおかゆの桶が鶴賀本家に戻されます。

それを受け取った鶴賀本家は宮司の宅でかおかゆの中から葦の筒を取り出して、それぞれの筒の中に入っているおかゆの量を計ります。

14本の筒は、米や麦といった農産物に対応していて、その筒におかゆがたくさん入っていれば豊作という証となります。

山荻神社の筒粥神事でも同様に葦の筒を釜に入れておかゆを焚きますが、鶴谷八幡宮の筒粥神事と異なるのは、こちらでは用いられる葦の筒の数が19本ということ。

これは18品目の農産物に加えて、19本目のおかゆの入り具合で、その年がどのような世情の年となるかを占うため。

実際、この19本目の世情についての判定は、なかなかよく当たると評判で、毎年真剣におかゆの入り具合に注目している人もいるようです。

この神事は景行天皇が諸国を巡り歩いた折に、五穀豊穣を占ったという故事に由来しているといい、市の無形民俗文化財として指定されています。

洲崎の「ミノコ踊り」

2月の初午と、8月の20日から22日にかけて洲崎神社に奉納される踊りが「ミノコ踊り」です。

8月の踊りというと盆踊りと考えられがちですが、洲崎の「ミノコ踊り」は立派な神事。

ミノコ踊りという名前の由来は「みろく踊り」と「かしま踊り」の二種類の踊りが一緒になった踊りというところからきています。

「ミノコ踊り」の踊り手となるのは、小学生から中学生までの女子が中心。

音頭取りと呼ばれる太鼓役が1名、歌役の2名が中央に座り、その周囲を踊り手が取り囲むようにして踊ります。

「みろく踊り」と「かしま踊り」では作法が少し異なり、「みろく踊り」では左手にオンベ(御幣)、右手に扇を持ち、「かしま踊り」では扇だけを使います。

また、初午の踊りと8月の踊りではオンベが異なり、初午では竹に五色の色紙を付けたもの、8月には色紙ではなく白い紙と鏡を取り付けたものが使われます。

これらの踊りは海の安全を守る「鹿島大明神」に由来するものと言われています。

「かしま踊り」は鹿島の神人が一年の吉凶を告げて歩く「事ぶれ」に由来していて、同時に魔除けや厄払いの目的があり、「みろく踊り」は海の向こうからやってくる弥勒菩薩が豊かさをもたらすということを表現しています。

これも海のそばという館山ならではの伝説かもしれません。

「ミノコ踊り」は洲崎や波佐間のほか、南房総の各地に伝わっています。

現在では少子化の影響もあり、踊り手が小学生から中学生までということにすると人手が不足してしまうため、成人の女性も参加することがあるそうですが、それでも伝統行事としてしっかりと受け継がれ、こちらは県の無形民俗文化財として指定されています。

スポンサードリンク

勇壮!厳島神社の「湯立神事」

このほかにも、館山には多くの神事がありますが、有名なものとしては「厳島神社の湯立神事」があげられます。

これは江戸時代の末期から西川名の厳島神社に伝わっているという歴史ある祭りです。

毎年1月15日に近い日曜日に行われる大漁を祈願する祭りで、「シオマツリ」とも呼ばれています。

この日には港の各漁港には大漁旗をなびかせた漁船が並ぶため、最近では珍しくなった昔ながらの港町の景色も堪能できる神事です。

「湯立」というのは古来から行われた神事で、神社の拝殿の前に大きな釜で熱湯をぐらぐらと煮立てて、そのお湯を竹の葉を使い参列者に振りかけるという儀式。

もともとは、巫女や行者が神がかりとなり、お告げを述べるために行われたといいますが、現在では神官が笹で参列者にお湯を振りかけ、この湯を浴びて厄払いをするという儀式になっています。

真冬に行われるお祭りですが、このお湯を浴びると風邪を引かない、厄を退け福を呼ぶなどと言われていることから、多くの参拝者が集まります。

お湯でタオルや手ぬぐいを濡らしたり、やかんに入れて持ちかえって家族の無病息災と大漁を祈る神事で、この日は港町が普段とは違う華やいで和やかな雰囲気に包まれます。

スポンサードリンク

Pocket

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*

*