「美味八献(びみはっけん)」とは南房総市を代表する八つの素材や料理の総称です。
海と山、豊かな自然に囲まれて食材の宝庫とも言われる南房総の食の中でも最高峰ともいえる存在、それが美味八献なのです。
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南房総を象徴する八つの味覚
出典:南房総いいとこどり
美味八献の中に含まれているのは
- 花の栽培が盛んな千倉の「花料理」。
- 捕鯨基地で全国的に知られる和田漁港の「クジラ料理」。
- 広々とした環境の下で麦やトウモロコシなどの穀物を中心にして育てた「里見和豚」。
- アワビの中でも最も高級品として珍重される「黒あわび」。
- 「曲亭馬琴」の物語として高い知名度を誇る「南総里見八犬伝」にちなんだ「伏姫御膳」。
- 県内の試験場が開発し、しっかりとした旨みが楽しめる「房総地鶏」。
- 江戸時代から続くタイの養殖技術を極めた技で育てた「房州真鯛」。
- 太古の味を今に再現した「古式料理」
の8つ。
どれも他の土地では味わえない、珍しさとおいしさに富んだ南房総の名物というにふさわしいものばかりです。
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「古式料理」とは?
美味八献の中でも特に目を引くのが「古式料理」。
南房総には全国で唯一という料理の神様を祀る「高家神社」が有名です。
「高家神社」の由来は奈良時代にまでさかのぼります。
奈良時代に成立したという「日本書紀」によれば、「高家神社」は第十二代の「景行天皇」がこの地を訪れた際、家臣が調理して献上したカツオとハマグリのおいしさにいたく感激し、その家臣、「磐鹿六雁命(いわかむつかりのみこと)」を宮中の料理を担当する大膳職に任命したことに由来します。
その後、磐鹿六雁命を神様として祀るようになったのが高家神社。
現在でも宮中行事にのっとって、包丁と箸のみでタイをさばく包丁式が有名ですが、その縁から地元の旅館組合などが奈良時代の料理を再現した「古式料理」を考案しました。
古式料理の基本の献立は「ハマグリの潮汁」「カツオ味噌のたたき」「アワビのひしお漬け」「山の芋の五斗合え」「黒米」など。
この中で注目したいのが「ひしお」です。
実は日本の料理の歴史の中で、現在当たり前に使われている味噌や醤油が登場したのは江戸時代になってから。
それまでは「ひしお」という調味料が使われていました。
「ひしお」は肉や魚、穀物などを発酵させて作った発酵調味料で、「醤」という字を当てられます。塩以外の調味料としては、もっとも一般的なものでした。
「古式料理」ではこのひしおを使用し、奈良時代の味を現代に再現しています。
塩とひしおだけでは味が単調になりがちかと思いますが、南房総の野菜や海産物はもともとの旨みをしっかり持っているため、こういったシンプルな調味料で食べると本来のうまさが味わえるのだとか。
旬の食材を使わないといけないことや、仕込みに非常に手間や時間がかかるためなかなか提供が難しいという「古式料理」ですが、料理の神様を祀る町の名物料理として、これからも訪れる人たちの舌をずっと楽しませて欲しいものですね。
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