「延命寺」は南房総市にある曹洞宗の寺院です。
このお寺は古い由緒とともに、「じごく絵本」の存在で知られています。
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延命寺の由緒
延命寺が開山したのは、永正17年(1520年)と言われています。
戦国時代に里見実堯(さとみさねたか)が徳の高い僧侶を招いて開いたという伝説が残っています。
延命寺はその後里見氏から約200石を寄贈され、その縁から、里見実堯をはじめ、その息子である里見義堯(さとみよしたか)、さらに里見実堯の孫にあたる里見義弘の墓所も設けられています。
「じごく絵本」とは
延命寺が一躍有名な存在となったのは、「じごく絵本」が大きな役割を果たしています。
じごく絵本というのは昭和55年に出版された絵本ですが、最近になって急に大ブームとなりました。
きっかけは、漫画家である東村アキコさんの作品、「ママはテンパリスト」。
東村さんが一人息子の子育てに悪戦苦闘するというエッセイマンガですが、この作品に「じごく絵本」が登場します。
この「じごく絵本」は、「五平」という男が命を落としたものの行き返って、自分が見て来た地獄の恐ろしさを語るという物語なのですが、この「悪いことをすると落ちる恐ろしい地獄」というのがあまりにもリアル。
「火あぶり地獄」「かまゆで地獄」「針地獄」など、「悪いことをしてはいけない」ということがダイレクトに子供に伝わると評判になりました。
そこからテレビや雑誌などで紹介、さらに人気が拡大するのですが、その元となった絵図がこの延命寺の「地獄極楽絵図」なのです。
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リアルに描かれる地獄絵図
出典:千葉県
この「地獄極楽絵図」が描かれたのは江戸時代末期の天明4年(1784年)。
江戸の絵描きであった江府宗庵という人物によって描かれました。
「地獄極楽絵図」は掛け軸の形式で描かれていますが、高さが約2メートル、全16幅という超大作。
掛け軸は「過去」「現在」「未来」を表す「欲界」「色界」「無色界」で構成され、人が死に、魂が抜けて、閻魔様の前で裁判を受け、現世で犯した罪を地獄で償い、やがては御仏の慈悲を受けるという一連の「死後の世界」を説明しています。
見どころは何と言っても「地獄」のリアルな有様です。
地獄は等活、黒縄、衆合、叫喚、大叫喚、焦熱、大焦熱、阿鼻と八種類に分かれていて、それぞれが犯した罪によって異なる地獄に落とされます。
例えば、嘘をついた人は地獄の釜で繰り返し繰り返し煮られ、悪口を言ったひとは針地獄に落とされて血まみれの苦しみを味わうという様子がリアルな筆致で描かれていきます。
これは言うことを聞かない子どもだけでなく大人でも怖くなってしまうはず。
そのように一見の価値のある「地獄極楽絵図」は、例年8月16日に本堂に公開されます。
この日は住職による解説もあり、多くの人が訪れるといいます。
言うことを聞かない子どもさんをお持ちの方はもちろん、大人の方もぜひご覧になって日々の暮らしを振り返ってみるのもいいかもしれませんね。
アクセス
延命寺
住所:千葉県南房総市本織2014
TEL:0470-36-2166
地獄極楽絵図公開
毎年8月16日
09:00~16:00
交通アクセス
車
富津館山道富浦IC~延命寺(約15分)
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