「館山地区合同祭礼」は、館山市で行われる夏祭りです。
地元の言葉では「たてやまんまち」とも呼ばれ、毎年地域の住民が楽しみにしているお祭りです。
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館山地区合同祭礼の由来とは
出典:房総town.com
館山地区合同祭礼は館山市の十三の地区と八つの神社が合同で行うお祭りです。
館山地区合同祭礼の歴史は里見氏の居城、館山城の城下町であった江戸時代にまでさかのぼります。
当時、館山は城下町として非常に繁栄し、住民も多く、それぞれの地区には土地の鎮守として祀られた神社が存在していました。
そして、それぞれの神社では毎年別々の時期に例祭が行われていました。
というのも、一年の中で、その神社で行われる行事の中で最も盛大で重要なお祭りが「例祭」ですが、神社のお祭りというものは基本的には「今年も豊作でありますように」「大漁でありますように」「安全で暮らせますように」といったことを神社に祈願し、今年の無事や安全に感謝をささげるものです。
そのため、お祭りは地域の住民がすべて関わる大きな行事となります。
つまりその前後は仕事などを休んで準備を行い、地域の総力を結集しなければいけません。
例祭が行われるのは神社にお祀りされている神様に関係のある日(たとえば、実在していた人物が神様になった場合には誕生日や命日など)や、その神社が創祀された日となります。
そのため、地区それぞれに異なる神様がいる館山では、自然と例祭も別の日に行われていました。
館山町は、大正三年に館山村(現在の青柳、上真倉、新井、下町、上町、上須賀地区)と、豊津村(現在の沼、柏崎、宮城、笠名、大賀地区)が合併して誕生しましたが、そのときにも各地区では別々の日に例祭が行われていました。
しかし、これまでは別の地域、別の村として運営されていたものがひとつになったわけですから、そこでは新しい「館山町」として団結できる行事が必要になります。
そこで目を付けたのが、各地区で行われていた例祭。
すべての地区が同じ日にお祭りを開催し、「館山町」として地区住民をあげて祝うことができれば新しい絆も生まれて一体感が生まれるのではないかという発想から、各地区は話し合いを重ね、その結果として昭和七年に生まれたのが、十三地区十一社が八月の一日から二日にかけて行われる「館山地区合同祭礼」でした。
その後、関東大震災の発生により新井・下町の諏訪神社、仲町・上町の諏訪神社、楠見の厳島神社、上須賀の八坂神社が倒壊、これらの四つの神社は「館山神社」として合祀されることとなり、それ以降は、十三の地区と八つの神社が合同で行う現在の形となって開催が続けられています。
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盛り上がりがすごい!
二日にわたって行われる館山地区合同祭礼には、神輿七基(上須賀、上真倉、沼、宮城、笠名、大賀、青柳の各地区)、曳舟二基(新井、柏崎)、山車四基(下町、仲町、上町、楠見)が参加します。
館山地区合同祭礼の初日の主役となるのは「神輿」。
各地区を引き回された神輿は、夕方になると神社に集結します。特に七基の神輿の担ぎ手が激しい「もみさし」を繰り返す様子は圧巻です。
神輿というのは、もともとは神様の乗り物として作られたもので、神殿の形を模しているとも言われています。
「もみさし」とは神輿の動きを表したもので、担ぎ棒に肩を入れて大きく左右に動かす動作を「もみ」、できるだけ高く神輿を掲げる動作を「さし」といい、「もみさし」とは「もみ」と「さし」を繰り返す、いわば神輿を担ぐ上での最大の見せ場。
各地区はそれぞれの名誉と意地を掛けて、できるだけ大きく、華やかな動作を競います。館山地区合同祭礼を見学するときには、ぜひ見逃さないようにお気をつけください!
また、それぞれの地区の神輿は、それぞれ別々の神様を祀ったものということもあって、形や彫刻などにも大きな違いがあります。
例えば青柳地区の神社は漆塗りの大神輿。
彫刻は、初代後藤利兵衛橘義光という名工が八十四歳の晩年に彫り上げた貴重なもので、胴の部分には楠木正成が息子正行と別れる名場面「桜井の別れ」、「太田道灌と山吹の里」がはめこまれています。
また、沼地区の大神輿は館山の中でも一番重いと言われているもので、一木彫りの鳥居と龍、扉には螺鈿細工の梅鉢など、見る者の目を楽しませます。
これら地区による神輿の違いも見どころです。
館山地区合同祭礼二日目の主役となるのは山車と御舟。
「山車」「御船」とは、豪華な装飾を施した車輪のついた引き物で、こちらも豪華な装飾が見もの。
朝には館山神社から新井海岸まで引き回される「お浜出」が執り行われ、夕方になると山車と御船が館山神社に集まります。
神社では祭りの期間には出店や屋台などが並び、非常に活気あふれる雰囲気ですが、夜になり、明かりの灯った山車や御船が入ってくるころには盛り上がりは最高潮に達します。
境内では山車ごとにお囃子・踊り、お舟唄なども披露されるだけでなく、この日に合わせて帰って来た地元の人たちや観光客・避暑客なども大勢集い、これこそまさに日本の夏祭りといった雰囲気。
館山地区合同祭礼は地元愛と熱気が楽しめる、館山が誇る夏祭りです。
アクセス
住所:千葉県館山市館山252
交通アクセス
車
富津館山道富浦IC~館山神社
電車・バス
内房線館山駅東口下車
~JRバス関東「洲の崎方面行き」城山公園前下車 徒歩すぐ
~日東バス「館山航空隊行き」城山公園前下車 徒歩すぐ
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