館山の「神輿と山車」は華やかで見どころ満載の装飾の数々

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出典:南房総花海街道

神輿(みこし)と山車(だし)は館山のお祭りには欠かせないものです。

全国どこでもお祭りといえば神輿や山車が町の中を引き回され祭りを盛り上げるのが定番ですが、館山ではそこに御船が加わりさらに祭りを盛り上げます。

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館山の神輿と山車の特徴は?

館山のお祭りに用いられる神輿と山車の最大の特徴は、まずはその華やかな装飾です。

実は館山は全国的に見ても非常にお祭りの盛んな土地柄。

館山市は人口約5万人と、規模でいえば中小規模の自治体と言えますが、しかし館山市内では現在も各地域で独自のお祭りが行われています。

これは館山が港と海を中心に発展してきた場所であることに関係があると考えられています。

というのも、昔は良いものも悪いものも海から渡って来ると考えられていたことや、海が近いため異なる文化の影響を強く受けやすいということもあって各地には様々な神様をお祀りする神社が誕生しました。

また、お祭りを行うためには人手や、お祭りを行うための金銭的な余裕が必要になりますが、漁業や農業が盛んな館山は経済的に豊かな土地であったため、昔から続く祭りを受け継ぎ、次の世代に継承していくことが可能だったと考えられます。

館山を含めた安房地方の人口は江戸時代からほとんど変わっておらず、それだけの人口を養えるということは、盛大にお祭りを行う余裕があったことの証明ともいえるでしょう。

そんな館山のお祭りを象徴している神輿や山車は、いわばその地域がどれだけ豊かなのかということを象徴する存在。そのため、地域の有力者たちは、豪華な神輿や山車を準備することで、土地の恵みを神に感謝するだけでなく、自分たちの土地の豊かさを示し、そこに住む人たちの団結をさらに強く促す効果があったものと思われます。

神輿と山車の違いは?

お祭りに欠かせない神輿と山車ですが、その違いを簡単に説明しておきましょう。

まず神輿は誰もが知っているように、担ぐための担ぎ棒の上に神様を祀る「輿(こし)」を乗せたものです。

「輿」とは昔の乗り物のひとつで、イスの座面のようなものの下に二本の棒を付けて人を運んだものです。

つまり「神輿」とは「神様の乗る輿」という意味。

そのため担ぎ棒の上に載っているのは神様がいる神殿を意味しています。

一方の「山車」は、本来は神様の宿る場所である「山」を模したもので、「神様の依り代」となる乗り物という意味ですが、現在ではその役割は神輿と厳密に区別されることはなくなっているようです。

地方によってはお祭りのときには神輿ではなく山車だけを使用したり、神輿の先導の車として山車を使うところもありますが、館山のお祭りにおける「山車」は、車輪のついた大型のものを指し、本体につながる引綱を引いて神輿とは別に街を練り歩きます。

山車には地方によって様々な形がありますが、館山の場合は「人形せり出し型」という形で、やぐらの部分には目立つようにシンボルとなる人形が設置され、台座の周囲の部分には豪華な刺繍を施した幕が張られています。

さらに大小二種類の太鼓や笛、鉦などのお囃子のための囃子舞台が作られているという非常に大型の作りです。

館山の祭りには、山車と似た「屋台」というものも登場します。

これは山車と同様に車輪がついていて、前半分には人形や踊り舞台、後ろ半分にはお囃子が乗るものです。

これは山車だけでなく、さらにお祭りを華やかに、にぎやかにするための存在で、かつては据え置き型の舞台だったものに車を付けて、どこでも演奏と踊りを楽しめるようにしたものだと言われています。

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御船とは?

出典:南房総花海街道

館山のお祭りに欠かせないのは、神輿や山車、屋台だけではありません。

館山のお祭りに不可欠なのは御船。

これは曳舟とも言われるもので、簡単に言えば、車輪のついた船型の山車のことです。

全国でも漁港や港町などでは船をかたどった山車が登場することもありますが、地区それぞれが異なったものを独自に持ち、それが祭りに登場するのは館山ならではの風情です。

このルーツは漁船ではなく、江戸時代に将軍家が使用していた「御座船(ござぶね)」や、さらにそれ以前の軍船の形を模したものだと言われています。

これほど大掛かりなものを所有できたということも、やはり館山の豊かさを示しているものと言えるでしょう。

神輿や山車の見どころは?

館山のそれぞれの地区にある神輿や山車、屋台、御船はそれぞれがオーダーメイドの特注品。

装飾だけでなく、高さや大きさも全く異なります。

というのも、祭りに使用する神輿や山車は、地域がそれぞれの神社の神様を乗せるもの。

乗っていただく神様に失礼があってはいけないことはもちろん、隣の地区の神様よりも粗末なものを用意しては地元の恥になってしまいます。

そのため、館山の神輿や山車はどんどん豪華になっていったものと考えられています。

精密な装飾が施された彫刻、金箔や漆をふんだんに使った屋根飾り、豪華絢爛な幕飾りなど、どれほど眺めていても決して飽きの来ないものばかりです。

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