
「館山海軍航空隊赤山地下壕跡」は、千葉県館山市の中心街から少し離れたところにある、館山市の代表的な戦跡です。
入壕の際は隣接している館山市役所豊津ホールで受付を済ませ、ヘルメットをかぶってからの入壕となります。
赤山地下壕はいつから建築されてきたのか、いまだ歴史ははっきりとしていません。
一説としては、幕末から太平洋戦争が終わった1945年(昭和20年)まで、東京案の入り口である館山で、国の中心であった東京(江戸)を守るための重要な拠点として建築されたのではないかとされています。
赤山地下壕の全長はなんと約1.6kmという国内でも特に大きな壕跡で、2004年(平成16年)から公開されています。
翌年の平成17年には館山市指定史跡に指定され、赤山地下壕跡は戦時中の雰囲気を間近で体験できる大変貴重なスポットです。
赤山地下壕内には、発電所、病院から売店まであったそうです。
ちょっとした施設になっていたのかもしれません。
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目次
館山海軍航空隊赤山地下壕跡
赤山地下壕跡入口付近
1930年(昭和5年)、海軍5番目の実践航空部隊として館山海軍航空隊が作られました。
それから、1945年(昭和20年)の終戦までの間、館山市香(こうやつ)から沼(ぬま)にかけての一帯には、航空機の修理部品の補給などをおこなった第2海軍航空廠(かいぐんこうくうしょう)館山補給工場、食料・衣服・燃料などを補給した横須賀軍需部館山支庫(しこ)関係の施設や、1943年(昭和18年)に兵器整備の練習航空隊として開かれた洲ノ埼海軍航空隊など、さまざまな軍事施設がつくられました。
東京湾の入り口にあることから、館山市には、海軍の施設だけではなく陸軍の砲台や教育機関(洲ノ埼海軍航空隊、館山海軍砲術学校)など、いろいろな種類の戦争遺跡が残されています。
このような場所は、わが国の中でも例が少ないと言われていますが、この赤山地下壕は、合計した長さが約1.6kmと全国的に見ても大きな地下壕で、館山市を代表する戦争遺跡のひとつです。
つくられた時期は、はっきりしていませんが、このような大きな地下壕が、1941年(昭和17年)より後であるという歴史的な事実があります。
全国各地につくられた大規模な地下壕の壕と壕の間の長さは、一般的には10~20m以上(長野市松代大本営の象山壕は25m)であるとされていますが、この赤山地下壕は5~10mと狭いうえ、計画的に掘られたとは考えにくい、そのつくりから見て、終戦がさし迫った1944年(昭和19年)より後に建設されたのではないかと考えられています。
アメリカ軍の空襲が激しくなった太平洋戦争の終わりのころ、この赤山地下壕が、館山海軍航空隊の防空壕として使われていたことは内部にある発電所跡や、終戦間際に、この壕の中で実際に館山海軍航空隊の事務を行ったという体験や、病院の施設があったなどの証言から、知ることができます。
館山市教育委員会
赤山地下壕発電所跡
赤山地下壕入口付近には、磁力発電所跡があります。
自力発電所跡
この一角は、壁面がコンクリートで補強され、コンクリートの土台や、床面の鉄筋がの残っています。
発電所があったところで、昭和20年2月に、航空隊の正門前の変電所から移転して使用されていたということです。
4気筒200馬力のディーゼルエンジンが2台、発電機2台、変圧器9個があったそうです。
赤山地下壕内説明より
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入口付近のくぼみ
赤山地下壕を入ってすぐのところには、くぼみがあります。
このくぼみは、電気員の待機所で、2段ベットが設置されていたようです。
10人くらいが交代で勤務していたそうで、空襲があるたびに振動で天井から土が落ちてきたそうです。
壕内には、さらに居住区があったそうで、木の棚のベットがあったそうですよ。
赤山地下壕内の地層
赤山地下壕内には、多数の地層がみられ、場所によっては、地層のズレを確認することができます。
どうしてこのような地層になったのかは、わかっていませんが、吸い込まれるような美しい洞窟としての魅力がある地下壕です。
地下壕内でキノコ栽培
赤山地下壕内は、温度が年中一定していることから、昭和30年前後、キノコ栽培に使われていました。
国内の戦争遺跡にも、戦後しばらくキノコ栽培に使われた地下壕跡があるらしいのです。
赤山地下壕内の見学コース
赤山地下壕内の見学コースは、赤山地下壕全体のほんの一部です。
画像の黄色い部分が見学できるコースになっていて、かなり距離が少ないように感じますが、実際に入ってみると結構な距離に感じます。
アクセス
所在地:千葉県館山市宮城192-2
問い合わせ先:豊津地区学習等共用施設(豊津ホール)
TEL:0470-24-1911
開壕時間:09:30~16:00(最終受付15:30まで)
休壕日:
毎月第三火曜日(ただし、第三火曜日が休日の場合はその翌日)
年末年始(12月29日~1月3日)
選挙等の行事日
駐車場:大型バス2台 乗用車18台
入壕料:
個人 一般200円・小中高校生100円
団体 20名以上で入壕:一般150円 小中高50円
遵守事項
- 地下壕内に危険物を持ち込まないこと
- 地下壕内において火気を使用しないこと
- 地下壕内では、飲食、喫煙及び落書きをしないこと
- 地下壕内では、集会等他の見学者の迷惑になる行為をしないこと
- 地下壕内へは、ヘルメットを着用の上、入壕すること
- 地下壕内の形状が変わる原因となる行為をしないこと
- 地下壕内の照明、金網等の施設を破損しないこと
- 非常の場合は、速やかに避難すること
- 見学は、公開部分のみとし、非公開部分への立ち入りは行わないこと
- 以上のほか、今後の入壕の妨げとなる行為をしないこと
交通アクセス
車
富津館山道富浦IC~赤山地下壕(館山市豊津ホール)約15分
電車・バス
JR内房線館山駅東口下車~「JRバス関東洲崎線(安房白浜行き)宮城下車 徒歩1分
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